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バースデー


──朝宮りんね様。

突然送られてきた封筒。
送り主の名前はなく、相手の予想も付かない。
不審に思いつつ、りんねはその封筒の封を切り、中から一枚のカードを取り出す。
それはグリーティングカード、いやバースデーカードか?
不信感を感じながら、添えられたメッセージを流し読みしていく。

──ハッピーバースデー。
確か10歳の誕生日だね、おめでとう。
一つの節目であるこの記念の日に、ボクからのプレゼントを用意した。
気に入って貰えると嬉しいな。

「気にいるも何も、プレゼントなんて……ん?」

バースデーカードをひっくり返すと、そこには殴り書きのようなものが記されている。
酷く雑で、一瞬、何と書いてあるのかが分からなかった。
だが、それをよく読み返してみると、りんねの表情が豹変し始める。

“二刀流は、銀誓館にいる!”

二刀流。
その単語に、りんねの心臓が飛び出そうなくらいに跳ね上がった。
ハラリ、と封筒の中から何かが落ちる。
それは写真だった。
拾い上げると、そこには白髪の男が一人、映っていた。
見た事のない男だ。
だが、そこには記憶の奥底に眠っていたある者が映っている。
右の太刀、そして左の脇差。
あの時の赤さはないものの、それは紛れもなく、あの時みた二振りの日本刀。

「く、くくっ、くははは!」

りんねの笑いが止まらない。
一体、どれだけこの時を待ち望んだことであろう。
よもやこんなに近くに。
灯台下暗しとはよく言ったものだ。

「見つけたぞ、二刀流! ようやく見つけた! 逃さない、逃さないぞ!!」





自室を飛び出したりんね。
だが、どこを探せば良い?
銀誓館とは言うが、そのキャンパスの広さは尋常ではない。
何の目印もなく、闇雲に探したのではどれほどの時間が掛かるか分からない。
それに気付いたのは、自室を飛び出して暫く進んだ時のことであった。
では、どうする?
唯一の手掛かりと言えば、一枚の写真だけ。
まさに藁をも掴む思いである。

「まあ、ヤツのやることだ。そんなことだろうとは思っていた」

「誰?」

突然、かけられた声に、りんねは顔を上げる。
そこに立っていたのは、まさしく写真に写っていた男であった。

「人気の多いところまで出る前で助かった」

「お、お、おま、お前はぁあああああ!!」

目の前に突然現れた仇敵を前に、りんねは激情し、一気に突進する。
だが、そんなあからさまな突進を受けるような“能力者”など居はしない。

「やれやれ…。冷静に話し合うつもりで来たのだが、それどころではないか」

「貴様の話など聞く耳持つかぁあア!!」

りんねはポケットから一枚のカードを取り出すと、それを高く掲げた。

「イグニッション!!」

常人並に制限されたその力を解放し、能力者としての力を発揮する。
それと同時に、大量の詠唱兵器がイグニッションカードの中からこぼれ出してくる。
りんねはその中から、まずは一本、目に付いた突撃槍を引き抜き、それを力一杯投げつけた。

「しっ!」

白髪の男は飛んでくる突撃槍の軌道をしっかりと読み、軽やかに回避する。
それと同時に、男もまたイグニッションカードを取り出す。

「話を聞いてくれる状態ではなさそうだ。致し方あるまい、イグニッション」

男の掛け声と共に、例の二振りの日本刀が姿を見せる。

「パパとママを殺した刀! パパとママの仇ッ!!」

りんねは再び散らばった詠唱兵器の中から、新たな一本、
サンダーピラーを引き抜くとそれを投げつける。

「だらぁあああ!!」

「ちっ! お転婆にも程がある。少しはこちらの言い分を聞こうとは思わないのか?」

「黙れッ!」

次々に投擲される突撃槍、サンダーピラー、斧、
中には斬馬刀や大鎌、鉄傘と言ったかつての得物すらも混ざっている。
怒りに我を忘れ、ただ、闇雲に兇器を投げつけて行く。
そんな攻撃を白髪の男はしっかりと回避し続ける。

「ちっ、厄介な。一度、頭を冷やさせる必要があるか…」

「頭なんて、最初から冷えている」

跳躍したかと思うと、地面に刺さった無数の得物を踏み台にし、さらに高く宙を舞う。

「闇雲に投げていたわけではない?!
足場を作り、自分に有利なバトルフィールドにしていたということか!!」

「ノウ! 不正解…」

宙に舞ったりんねは、はためくスカートの裾から、
白い太腿を晒すとそこに巻かれたホルスターから、一本の刃、ブーメラン──ワイバーンを引き抜く。
飛龍の広げた翼を彷彿とさせるの刃がりんねの手から放たれる。
しかし、それは一見、見当違いの方向へと投げられていた。
困惑する白髪だが、その思惑に気付くと、五感を研ぎ澄ます。

よく聞くと分かる。
ガン、ギン、ガガン、と金属同士がぶつかり合う音。
それはそう、ブーメランが、辺りにばら撒かれた大量の詠唱兵器の柄にぶつかり、方向転換をしている音だ。

「ぐっ!?」

咄嗟に回避する。
そのちょうど真横を、ワイバーンの翼が通り過ぎていった。

「さらに追加するわよ!」

りんねはイグニッションカードから新たなブーメラン──ヤタガラスを引き抜くと、
ガチャンとその三枚の刃を展開させる。
霊鳥の名を冠し、その名の通り三本の(やいば)を持つ獰猛なブーメラン。
扱いを間違えると、使用者すらも餌食になりかけないそれを投げつける。
そして自分は、中央に突き刺さったサンダーピラーの柄に着地した。

ガン! ギン! ガンガン! ガギンッ!!

ぶつかり合う金属音と同時に飛び交う二つのブーメラン。
それをどうにか回避しながらも、次第に追い詰められていく白髪。

「厄介な。
これだけの数の詠唱兵器を同時に使いこなしている。卓越したバトルセンスだ。だが…」

白髪の男はその場に立ち止まると身構える。

「一見、変則的な攻撃のように見えるが、計算に基づく攻撃だ。その公式が把握出来れば…」

ギン! ガガン!?

前に突き出した太刀と背後に構えた脇差が、強烈な金属をを放ったかと思うと、
カランカランという音と共に地面に叩き落とされる二つのブーメラン。

「この通りだ」

「そんな!」

「そろそろ、俺の話を聞いて貰おうか?」

「黙れ! 貴様の話など聞く耳持たんと言った!!」

りんねは再び憤ると、足場にしていたサンダーピラーを引き抜くと、それを構えて突撃する。
ゴッドウインドアタックである。

「はぁあああ!!」

「やれやれ…」

吶喊してくるりんねに対し、男は刀を地面に突き刺し、念を打ち込む。

「ダークハンド!!」

「しまっ!!」

白髪の足元から伸びた影が、りんねの身体に巻き付き、地面に叩き落とす。
この男が日本刀を得物として使っていることから、魔剣士である可能性を考えなければならなかった。
そして、魔剣士と戦う際に、尤も気を付けなければならないのが、ダークハンドである。

「ぐぅう!!」

「少しは大人しくなったか」

その攻撃により、毒を受けたのか、身体から力が抜けていく。
冷静に考えている様でいて、実際にはかなり激情していた。
もっと考えて戦うべきであった。
近接特化の能力者に対し、相手の戦場に戦いを持ち込んでも利はない。

「では…」

「殺せ。パパとママを殺った時みたいに殺せよ」

「その辺りで、行き違いがある」

行き違い?
何のことだ?

「まず、お前の両親のトドメを刺した、という意味では間違いなく俺はお前の仇なのだろうな。だが…」

一呼吸置き、まるで言葉を探すように考えると男はそれを答え始めた。

「遠回しに言ったところで余計に誤解を招くだけだ。
単刀直入にいう。お前の両親の“本当の死”は、お前の誕生日ではなく、その一週間前だ」

「え?」

「こちら側に身を置いた今のお前ならば分かるだろう?
お前の両親は、俺が殺すよりも一週間前に、()うに死んでいたのだ」




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朝宮 りんね

Author:朝宮 りんね
このブログは株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』のキャラクターによるブログです。

朝宮りんね(b57732)


両親を亡くし、孤児院を装った研究施設にて能力開発を受け、シルフィードの力を覚醒させた少女。
力を手に入れた彼女は、両親の仇である二刀流を追うが、実はその相手は自分の命の恩人であったことが分かる。


水岸烈(b62418)


二刀竜の名を持つ剣士。
りんねの命の恩人であるが、その為に彼女を苦しめた事実を悔やんでいる。
難病を患っている妹がいて、その治療費を肩代わりしてもらう約束で、従属種ヴァンパイアとなった。


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